「荒野の恋」第一部(桜庭一樹)

生臭い。それも、男女間のそれではなく、血のにおい。野生の。などと書くと猛烈に誤解を招きそうだ。初恋物語なのですよ。
身も蓋もなく現実を描く作者が初恋ものをやればこうなるのは当然といえば当然だが、それにしても、いや、なんというか。へたれ読者としてはまともな感想を書く武器がないというか。続き、読ませてください。

にしてもこの作者の書くオリジナルは、主人公が父母兄弟と仲良く暮らしているというのがひとつもない。「君の歌は僕の歌」しかり、「赤×ピンク」しかり、「推定少女」しかり、「GOTHIC」のヴィクトリカしかり。「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」は言うまでもなく。まだ未読の初期作いくつか(AD2015隔離都市とか)はどうなんだろうか。