カスタム・チャイルド(壁井ユカコ)

…これはご都合主義というやつなのでは。
むろんご都合主義とそうでないのとの間に明確な線など引けない。ただ、おれのご都合主義判定デーモンが動作したのは事実。

死んだ者を死んだままにしておかない物語に対して、評点が辛くなる傾向は自覚している。たぶんそういうことなんだろうと思うが、でもそれを言うなら「キーリ」1巻目もそうなのだが、あちらはデーモン動かなかったんだよなあ。
ファンタジーとはっきり割り切れる「キーリ」と違い、こちらは移植臓器の記憶という仕掛けが途中から見えて、なおかつそのトンデモすれすれの設定に「えー?」と思った、というのがデーモン動作のひとつの要因だろう。現実世界の理屈を物語に適用するなら、現実世界のシビアさも一緒に適用してほしい。

というわけで期待ほど楽しめなかったのは、この作者の小説だけに残念だった。
あと、キーリ及びこの本の一連の作者紹介から受けた印象から、主人公の性格づけは作者のそれがだいぶ投影されてるのかななどと馬鹿読者的な感想が湧いたのだが、これは妄想ということで捨ておく。でもこの主人公、ハーヴェイとも性格上の共通項あるよな。